ラボットのケンジ ~ 最終話

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ケンジは絶叫した、父親は代行会社のブルゾンを着て数年前とはあまり変っていない様子だった。ココで会ったが百年目ぇ~とばかりに取っ捕まえたくて、詰め寄ろうとしたが酔っていて千鳥足のケンジは直ぐに転ぶ。 代行を呼んだスズキと言う人物も酔っていて空気を読めるどころではなかったのでそのままそそくさと車の鍵を渡し代行の車に乗り込んだ。ケンジは、声にならない待てーッと言ったが父親には聞こえなかった。 ケンジはそのまま倒れて寝てしまった… 目を覚ました時には、店の奥の団体予約席の長椅子にクッションを枕に寝かされていた。 気が付き、遠目でカウンターを見ると米沢くんが仕事を終え私服に着替えてコーヒーを飲んで寛いでいた。隣には、ケイコによく似た米沢くんを迎えに来た奥さんが座っていたが、もうケンジにはケイコの事は忘れていた。 ケイコを誘った幼馴染の働く洋服居酒屋が、失踪したケンジの父親との再会の場所となるとは思いもしなかった。この現実は妄想であって欲しいと、ケンジは疲れ切った様子でそのままもう少し横になる事にした… 汗ばんだ手には、店に置かれていた代行業者のしわくちゃの名刺を握りしめていた。 おわり
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