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ケンジは、父親の一件で入ったばかりのこの会社で独りぼっちになってしまった。
決算月も重なり、慰労会を兼ねて新人歓迎会が控えていたがケンジは気が引けていた、とその時携帯電話が鳴る。
"もしもーし、おぅケンジ!
今何処に居るんだ?もうとっくに皆んな待ってるぞッ?!会場時間過ぎてるからー早く来いよっ!"
同僚の田中くんだった、ケンジは驚いた。
会場時間を実際より遅く伝えられていた…急いで会場へ向かったケンジ。
しかし、これを機に退職する決意が固まっていった。
歓迎会から数日後のある日。
部長の机の前に居るケンジ、手には辞職願を持っていた。
部長に深々と頭を下げて両手で辞職願を差し出すケンジ、部長は無言で片手で引くようにして受け取る。ケンジが入社し父親が友人だと判った日から同じ態度だった、それもこの辞職願を引き取った一瞬で父親と部長との関わりの終わりを迎えた…
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