第3話 懸念

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「だから悪魔島には私も行く、でもね…まだ私は皆についていけるレベルじゃない…せめて足手まといにはなりたくないんだよ…」 「…」「…」「…」 悲痛な面持ちの女に傭兵、少女、人魚の三人は誰も声をかけられず押し黙る。 それは女の思いを少し汲み取ったからでもあったが…それ以上に三人は研究所での自分達の失態を思い出していた。 三人は研究所の幹部達に為す術もなく完敗し、それによりナナシの足を引っ張ってしまった。 優しい男は恐らくそんな事気にもしないだろうが…それが三人の心に余計に影を落とす。 「…うちも…一緒に強くなるでございます…古心さん、一緒にやりましょう」 「…そうだな、俺も次の段階に進まねばなるまい。今度は負ければ即、死に繋がるだろう…しかし、悪魔島の連中が願いの少女を使うかもしれん今…そんなに悠長に構えてはいられないんじゃないのか?」 「…いえ…まだ時間はあるであります」 悪魔島の元住人…殺は何か確信をもってそう語る。 「『人心掌握』…あの女がかけた能力は願いの少女の心を自分のものにするもの…心には魂が宿る…その術者が死亡して願いの少女の魂は今、心の奥底に眠っていると推察しているであります」     
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