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願いの少女を操る術を持たずにあの連中が事を私達に露見させたまま何もしてこないなんて事はありえない。
…だとしたら、既にその当てがあると考えた方がいい。
若しくは…私達を始末するため十九人の悪魔を直に仕向けて来る可能性もある。
心操術の類は術者が死亡した場合、その心を再び掬い上げるのに相応の時間がかかるのは確かであるが…それを加味してもあまり悠長にのんびりする気にはなれなかった。
そして最大の懸案事項が殺の不安感を更に増幅させた。
それは、何の目的で願いを叶える少女を拐ったのか。
殺はそれにも少し心当たりがあった。
「……………というわけであります」
「……………」
女神は押し黙る。
殺の口から出た…あまりにも突飛な話を少しの間受け止められなかったためだ。
「確証を持って言える事ではないでありますが…」
「…わかりました、ありがとうございます。殺さん、ナナシ様の別人格の方にお伝えください、少しの間…私はスマホも留守にします、と」
「………了解であります」
そうして、殺と女神の珍しい組み合わせの会話は終わった。
「……」
もしも連中の目的が殺の考えている通りなら…間違いなく…
この世界は直ぐに終焉を迎えるだろう。
不安を抱えたまま、殺は床につくのだった。
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