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ここに至った経緯の始まりは、恐らく彼女の存在を認識した頃まで遡る。正確に言えば彼女の「声」を認識した、と言った方がいいのか。
確か、俺たちが高校ニ年の頃の話だ。
うちの学校の生徒は、七割が進学に力を入れた特進クラスに、残りはスポーツ推薦で入学した生徒が大半を占める普通科クラスに属していた。
その普通科クラスの中には、いわゆるスポ根魂を掲げる生徒も少なからずいて、先輩と後輩の間でいじめ紛いの練習や交流が度々起こり、校内でも時折問題になっていた。
そんなある日の放課後、廊下の隅に人集りが出来ていて、中学からの友人の恭介に半ば強引に引っ張られていた。
またどこぞの運動部が「ど根性練習」でも見世物にしているのだろう、と俺は辟易としていた。
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