始まり

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「は、話の途中ですみませんが、お二人はどういう関係ですか?」 俺は、思い切って聞いた。 すると、ようやく彼女が俺の存在に気づいた。 「た、田嶋くん!なんで、ここに!?」 「委員会に遅れたから、罰として一週間、理科室掃除する事になったから」 「も、もしかして、私を運ばせたせい?ご、ごめんなさい!」 「い、いや、俺も周囲を確認せずに、走っていたのが悪いし。それに、白星さんに怪我をさせてしまったし… だから、あれは俺が悪いんだ!」 「で、でも、私もちゃんと前見てなかったですし、私が悪いんです!」 いつの間にか、俺たちはどっちが悪いか、言い争いになっていた。 「ゴホン」 紺野先生が、咳払いをした。 「えーっと。まやか、なんの話だ?後、その足の包帯は何だ?」 (ま、まずい!彼女が、紺野先生の知り合いだと確定している時点でこれは絶対的に、確実に理科室掃除が確実に増えてしまう!!これでは、いつになっても俺の自由が訪れて来ない!!もう、終わった) 彼女は、少し困った後にようやく口を開いた 「昨日、学校の階段で転んじゃって、その時に、田嶋くんがそこを通りかけて、田嶋くんを下敷きにしちゃって… だけど、足をひねちゃって、田嶋くんが急いでいたのに保健室に連れて行ってくれたの!だから、田嶋くんは委員会に遅れちゃったの!!」 彼女は、俺を庇った。 きっと、彼女と先生はすごく仲がいいと思うが、彼女は俺のために嘘をついた。 「そうか、田嶋」 「は、はい」 「理由も聞かずに悪かったな。まやかを保健室に連れて行ってくれて、ありがとな。 ってことで、理科室掃除は明日からしなくていいぞ!」 「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」 そして、先生が理科室を出て行き、理科室には俺と彼女だけになった。 「どうして、俺を庇ったの?」 俺は、彼女に聞いた。 「昨日の恩返しです」 「で、でも元々は俺が悪かったから、恩返しなんてそんな… それに、白星さんは、紺野先生と仲が良さそうだったし、嘘なんてそんな事しちゃダメだよ!!」 「いえ、私がしたかった事なんで気にしないで下さい。む、むしろ、こんな変な恩返しで、ごめんなさい。」 「ありがとう。君の気持ちは、嬉しいけど本当に良かったの?」 「はい!」 彼女は、思いっきりの笑顔でそう言った。
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