プロローグ②逃走

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「殆ど消化試合だけど、教科ごとの授業があるよ。授業は難しく受けたかったら難しくしてもらえばいいし、簡単に済ませたいなら最低限でいい。自己管理出来てれば何も言われないから、提出用のレポート書いてても良いし、ただ座ってるだけの人も居る。例えば……4を4つ使って1から10にする式を求めなさいみたいな事をいきなり聞かれたりはしないけど……。」  ルカがそう言い始めた途端、少女は黒板に四則を用いて1から10になる10通りの式を書き始めた。 「左利きか。」 「そこ!?」  ミキの感想にルカが突っ込む。 「3でもできますね。」  と少女が言った。ルカが尋ねる。 「3を4つ?……あ、いけるか。」 「階乗(ファクトリアル)が使えるなら、3が3つでも出来ますよ。」  少女は3を3つ使った1から10になる式も書いてくれた。 「あー、そっか。数学は世界共通語だ。」  ミキが妙に感心しながら言った。 「頭良い?」  ルカが尋ねると、少女は目を伏せた。 「私の場合は、頭が良いのとは違うと思います。ただ、覚えただけです。来る日も来る日も見て聞いて覚えて調べられて……。ルカとミキはお友達ですか?」  少女は、ぱっと顔を上げて微笑みかけた。 「そう……だけど。」 「何をしますか?お友達って。」 「飯食って、しゃべって歩いて、買い物行って、ゲームして……。」
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