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ミキは適当に答えてみせたが、ルカは何を思ってそれを尋ねる状態になるのかに思案を巡らせるばかりだった。
「友達居ないの?」
「わかりません。」
「日本に来て何年?日本語うまいね。」
ミキが話の流れを断ち切るように尋ねたが、少女は答えなかった。再び目を伏せてしまった少女を見てミキが言った。
「場所を変えようか。」
三人が学校を出たところに一台の車が停まっていた。三人の行く手を阻むように男が二人並んで立っていた。少女は足を止め、二人の男に話し掛けた。
「Не стреляйте. Если вы не причините им вреда, я подчинюсь.」
英語ではないようだが、何語かは解らなかった。手短に話は済み、少女は男達を睨むような表情で言った。
「すみません、車に乗って下さい。彼らは銃を持っています。」
「は?」
「国際会議場まで送ります。」
ルカとミキは戸惑い、顔を見合わせたが、尋常ではない雰囲気に逆らう事も出来ず、自分達のおかれた状況を把握できないまま、大人しく車に乗り込んだ。
三人を乗せた車が走り出すと、ルカが聞いた。
「お前、何かやったの?」
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