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ルカが尋ねるが、少女は答えられなかった。ミキがルカを宥めるように言う。
「気持ちはわかるけど、俺達には無理だと思うよ。出来るとしたら時間稼ぎ位じゃないかな。その間に君が求めるものは手に入る?」
そうこうしている間に車が国際会議場に到着した。数人の出迎えがいた。ルカがケータイで時間を確認して、画面に何か打ち出して少女に見せた。
「家出にもやり方があって、間違えると出して貰えなくなる。一か八か、この内容で連絡してみろ。」
車から降りた三人はしばらくうつむいて、少女の握っているルカのケータイを見つめていたが、少女は言われた通りの内容のメールを送信して、ルカにケータイを返した。
「それじゃあ……。」
と、ルカが右手を差し出した。少女が左手でルカの手を取った瞬間、ルカとミキが叫んだ。
「「走れ!!」」
ルカと少女はつくば駅に向かって走った。ミキも途中まで走ったが、追い付かれると思ったミキは振り返り、両手を挙げて立ち止まった。出迎えに来ていた男の一人がミキの腕を後ろに回し絞め、ミキを拘束した。その男に着信があった。痛みに顔をしかめながら、ミキは言った。
「ゴール教えるから、一緒に乗せて貰えませんかね。」
男がメールを開くと、『10時までには帰ります。探さないで下さい。』と表示された。
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