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プロローグ④彼女の事情
「忘れるってどんな感覚ですか?」
ルカは少女の思い詰めたような表情を見なかった振りをして、勢い良く言い切った。
「そんな事!超簡単!誰でもできる!」
少女は呆気に取られた顔をした。
「ミキは頭切れるけど、時々超バカやらかすんだ。あいつ、自転車乗ってて突然吹っ飛んだ事があって……。」
「???」
少女が何の話かと思っていると、ルカがゲラゲラ大笑いし始めた。
「スポークがバリバリバリって外れてガッシャーン!何が起こったのか解らなくて……大丈夫かって聞いたら……超真剣な顔で……ブレーキより強烈な制動がかかって、ビタッと止まれるんじゃないかと思ったって……走ってていきなり前鍵さしたんだよ!」
ルカは指で前鍵がささる様子を作って見せた。ルカの笑いは止まらなかった。少女も物理の法則を無視したあまりに無謀な試みの結果、勢い余って宙を舞う姿を想像すると可笑しくなってきてしまい、吹き出すように笑いだした。
「あいつ、弁当屋でバイトしてて水加減間違えたらしくて、ご飯がべちょべちょに炊けたんだ。何を思ったのか謝ればいいのに、勝手に店閉めてごみ袋に詰めて、やべぇ!処分してくれ!!ってサンタみてぇに担いでウチに持ってきた事あるし!」
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