83人が本棚に入れています
本棚に追加
ルカの勢いは止まらなかった。
「俺もある!チラーってわかる?冷却水循環させて冷やす装置。つけても水量足りないから何か詰まったんじゃないかっつって、逆流させる事にしたんだ。
それは良いんだよ。インとアウト逆にして流路に詰まったゴミ出すのかなって思ってたら、ポンプの出口にホース突っ込んで蛇口捻るもんだから、ブッシャー水しぶき上がって、辺りビッチョビチョ!!ポンプの向きは変えてないんだから、そこじゃないだろ!みたいな。
そしたら、チラーから水が出てるか確認した方が良いとか言い出して、俺、違うって止めてんのに、出口に繋いだホース外したまま、いきなりポンプのスイッチポチーで噴水!1メートル位、水が噴き上がってさ、もうコント!全員頭から水被って、オッサンだらけの水浴び大会。誰得!?みたいな!」
ルカは失敗談を話して聞かせ、二人は笑い合った。少女の表情が和らいだ事を確認すると、ルカは安心して語り始めた。
「どうでも良くなったでしょ?」
ルカの言葉に少女はハッとした。
「これを忘れたって言うんだ。何かに夢中になっている時は、どんな事も忘れていられる。大好きな事とか、夢中になれる事で頭を一杯にしておくんだ。」
「!!」
ルカは自分の頭を指さしてみせた。少女にとってその言葉は衝撃的なものだった。少女はしがみつくようにルカのシャツを握った。
「寒い?」
「いえ、私、どうしても言えなかった事があって……。」
言葉に詰まる少女を庇うようにルカは言った。
「……大丈夫だよ。かなり怒られるだろうけど、理由があったんだろ?時間をかけて答えを出すことだと思うよ。
最初のコメントを投稿しよう!