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「電話、ダメ。警察、ダメ。病院、ダメ。って。家出っちゃ家出なんだろうけど、服装おかしい。これ、レントゲンか何かで着替えるアレじゃん?何も持ってないみたいだし、これ履いてたんだよ?」
と、ルカが指さしたのは、よく便所に用いられているゴムサンダルだった。
少女は酷く疲れている様子で、電話がバイブになっていたせいもあり、通報されると思ったのだろう、友達と言ったらごめんなさいと謝って座り込み、そのまま意識を失いかけたとルカは言う。
「多分、昨日寝てないんだろうな。」
「どうすんの?」
「わかんない。目が覚めたら聞いてみる。」
「何を?」
ルカには思うところがありそうだったが、ミキは少女に好奇心を覚えていた。
「あの子、何歳くらいだと思う?」
「わかんない。同じくらいに見えるけど?」
「同じくらいに見えたら、もっと年下かもよ?」
アッシュブラウンの長い髪、日本人離れした顔立ち、外国人らしい気はするが、全国平均の二倍近く外国人の割合が高いつくば市では、帰化した日本人か外国籍かを外見で判断することは難しかった。
「行くところがなかったのは俺も同じだし……。」
そう言いかけた瞬間、床を蹴りつけたようなものすごい音がして、ルカがダイニングからベッドに走った。ルカは起き上がろうとしていた少女の口を覆うように頭を押さえつけて寝かすと、シーと人差し指を立てた。
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