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ルカの話にミキが食いついた。
「それどうした?エグゼファイルだって、中身のソースを完全に復元する事は不可能だ。バイナリを逆アセンブラしたとして、変数、関数、クラスなんかが欠ける。構文の雰囲気がちょっとわかったところで、可読性を著しく欠いたスパゲッティがほどけるとは思えないし。」
考えることは大体同じかと思いながらルカが答えた。
「そんなことしない。動作してるプログラムから仕様を書き起こした方がはるかに楽だと思うし。それでも一人で出来るかっつったら、出来ないと思うけどね。」
「作るときは楽だったかも知れないよな。どっかから引っ張ってきたコピペフランケンをあとから繋いだり修正した可能性もある。情報技術の葉月に聞いてみる?あいつ通信事業に就職したんだろ?」
葉月の名前が出ると、ルカが露骨に嫌な顔をした。
「あいつが絡むと良いこと無い。見返りに何集られるかわからん。」
「仲良かったじゃん。」
「いいわけあるか。愛想がないだの、優しくないだの、言いたい放題!顔見りゃ奢れしか言わないし。」
ミキは何か言いたげな顔をしたが、言うのをやめた。
「なぁ、お前、自分の名前検索したことある?」
「無い。お前ある?」
「まず、ちょっと検索エンジンで試してみたら?」
ルカは言われるままにケータイで自分の名前を検索してみると、同名の会社や名前の画数等のページの他に、いつかの自分の行動や、覚えのある画像がピックアップされた。
「誤報、情報流出、炎上、企業なんかは特に重宝しそうだよね。データ管理システムとしてもあればかなり便利だ。まだ持ってる?」
「アリス?あるよ。動作しなかったって聞いてるけど……。」
「それ、開いてみない?」
ミキの考えは解らなかったが、ルカは今日の終業時間を伝えて家に来るよう言った。
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