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「朦朧としてたけど、自分でここまで来たんだよ。覚えてる?騒がれると困るのはこっちも一緒。帰りたいなら出ていって。鍵は開いてる。行くところがないなら、静かにして。わかる?」
少女は驚いた表情で黙って縦に首を振り、それを見てルカもゆっくり手を離したが、それらを見ていたミキが一番驚いていた。
「お前、何すんのかと思った。」
「平日の昼間なら誰も居ないだろうけど、日曜はまだ寝てる人がいるかもしんないし。」
「いや、そういう事じゃないし。」
ルカは水を入れたグラスを少女に手渡した。少女はそれを受けとるが、うつむき加減にグラスを見つめるだけだった。ルカがグラスを取り上げ、一口飲んで再び渡すと、少女も同じように飲んだ。
「連絡したいところがあれば使って。迎えが必要なら、来てもらっていい。場所が分からなかったら代わるから。」
と言って、ルカがケータイを差し出した。少女はルカのスマートフォンを受け取ると、マップアプリを開いて現在地を確認した。周辺の地図を確認していると、腹の鳴る音がした。
「腹も減るよね。」
ルカはダイニングに向かった。
「自炊って何作ってんの?」
レトルトを温める準備を始めたルカにミキが聞いた。
「適当。一応、牛乳、卵、肉類は買うようにしてる。」
「魚とナッツ類と葉酸が含まれる野菜類、ベリーなんかあれば脳には良いかもね。あと、チョコレート!」
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