君と僕の間には①すれ違い

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*** 「代理の話聞かない?神無月(かんなづき)小春(こはる)所長代理。あいつの人生は、代理抜きでは語れないだろうね。」  ミキはエアコンをかけながら窓を全開にして、市街地を避け、東大通(ひがしおおどおり)から石岡方面に車を走らせていた。 「今の部屋の保証人も代理がサインした筈だよ。キャリア美人って感じの人。」  アリスは少しご機嫌斜めの様子で助手席に座り、ルカに対する不満をぶちまけた。 「……審査が通ってもすぐには大人に出来ないかもって言われました。その前に片付けたい事があるって……。」 「そう?もし国籍違っちゃったら、役所の人にその場で証人お願いしてでもビザ取るって言ってたけど。なんだろ。」 「あのひと、いつ寝てるかわからないですし。気が付くといつも机に向かってて……。」 「ああ、勉強してるんじゃない?色々持ってるよ。有機溶剤、特化物、危険物に高圧ガス、毒劇、火薬……。今は技術士補かな。あいつ、技術士目指してるから。」 「聞いたこと無いです……。」 「聞いてみればいいじゃん。そういうのは直接本人に聞けばいい事だよ。技術士勧めたのも代理じゃなかったかな。」     
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