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公園に着いたら、一緒に掃除当番に入っている2年の女の子がすでに来ていた。
「あ、小山さん? 私、一緒にお当番担当の帰宅部、菊池梨愛ですぅ、よろしくね!」
帰宅部が、まるで正式な部活であるかのような言い方をされちゃってるけど、そんなくくりで一緒にされても困る。
「ねぇねぇ、前にみんなでここの掃除に来た時って、あっちのほうやったっけ? やってなかったよね、ちょっと行ってみない?」
そんなことを言いながら、勝手に行ってしまうから、私も黙ってついて行かざるをえない。
「あーほらやっぱり! こっちの方は、あんまり目立たないから、ゴミとがたまっちゃてるよねー」
彼女は一人で勝手にしゃべりながら、掃除を続けている。私はただ彼女につき合い続けて、差し出したちりとりに入ったゴミを袋に移しかえた。
「きれいになったねー、帰ろ!」
私が来て5分も経ってない、確かに目立つようなゴミはなけど、そんな簡単に帰っちゃっていいのかな?
そう思いながらも、さっさと帰ろうとする彼女について元の場所に戻ると、そこには立木先輩が来ていた。
「えぇ、もう終わったの? 早いね!」
「超余裕ですぅ~」
そう言って彼女は、彼の腕に一瞬だけ手をおいた。立木先輩はそのことを、全く気にもとめてないみたい。
「先輩、今日の当番、入ってなかったですよね」
割り振られた当番表は、平の総務委員名しか載っていなくて、立木先輩が来るとは思っていなかった。
「うん、名簿には載せてないけど、役員は来られる時は来ようっていう話しになってたから。それに、今日は初日だったしね」
にっこりと笑う立木先輩の笑顔は、もうそれだけで私の中にある嫌なことの、何もかもを吹き飛ばしてしまいそうな破壊力がある。
「きゃー、先輩が来てくれて、うれしー!」
彼女はまた、先輩に抱きついた。
「もう掃除終わったの?」
「はい! 私が全部やっときました!」
ビシッっとそう言い切られると、ちょっとエッ? ってなるけど、まぁ彼女の言ってることに間違いはないのかもしれない。
彼女がいつからここに来ていたのかは知らないけど、少なくとも私より早かったのは確かだ。
「小山さんも、お疲れさま」
立木先輩が、そうやって微笑みかけてくれたから、私はとりあえず黙ることにした。
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