#2『公園掃除』

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 学校へ帰る道のり、ほんのわずかな距離だけど、彼女と立木先輩が並んで歩いていて、私はその3歩後ろを歩いている。 二人がどんなことを話しているのかまで、ちゃんと聞き取りにくいから分からないけど、先輩って、こんなに楽しそうにおしゃべり出来る人だったんだな、知らなかった。  校庭に戻ると、グランドではサッカー部が練習を続けていた。 「あ、隼人だ、おーい!」  菊池さんが大きく手を振った。それに気づいた市ノ瀬くんが駆け寄ってくる。 「なんだよ、梨愛も掃除当番かよ」  彼はケタケタと笑った。 「なによ、隼人も真面目に総務の仕事やんなさいよ、ねー、小山さん?」  突然振られた私は、返事に困ってそのまま固まった。 「真面目にやってんのかよ、梨愛がさぁ~、お前には言われたくねーし」 「私も隼人に言われたくないー」  私が掃除に行く前に、ここで市ノ瀬くんと話した時とテンションが全然違う。 別にいいけど、だけど、こんなに楽しそうに他の女の子とは話すくせに、私とは出来ないんだな、別にいいけど、気にしてないし。 「二人とも、仲いいんだね」 「幼なじみなんだよ、腐れ縁ってやつ」 「そうなのぉー、ずっとずっと腐れえんー」  あっそ、そうですか、それはよかったね。 「先に行くね」  一言だけ声をかけて歩き出したら、市ノ瀬くんとちょっとだけ目があった。 なによそれ、申し訳ないと思ってるなら、今度からちゃんと掃除にきてほしい。 「掃除ご苦労さま、お疲れ!」  頭の上から声がしたと思ったら、上川先輩の声だった。普段の制服姿じゃなくて、Tシャツ姿なのがヤケに新鮮に見える。 「あぁ、いえ……」  あんまりしゃべったことがないから、これで2回目だし、いくら市ノ瀬くんと同じ部活だからって、話しかけてくるのが突然過ぎるから、私には次のセリフが出てこない。 「あー、上川先輩、お疲れっす!」  菊池さんは、市ノ瀬くんにしたのと同じような気軽さで、上川先輩にも声をかける。 それで上川先輩と仲良しの立木先輩も会話の中に入っちゃうから、私はますます、どういう顔をしてここにいていいのかが分からない。 勝手に行っちゃっていいのかな、でもそれも感じ悪いし、かといって、このまま会話に入って、なんだコイツって思われるのもイヤだな。
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