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「小山がね、いっつもうるさいんですよ、委員会に来いとか、掃除に来いとかって」
唐突に彼からそう話しを振られて、思わず「えっ?」って声が出た。
「テメーがサボってんだから、仕方ないだろ!」
上川先輩の手が、市ノ瀬くんの頭を押さえた。
「ゴメンね小山さん、今度から、俺もちゃんと注意しておくから」
初めて、先輩から名前を呼ばれた。私は小さな声で、「はい」と返事をするのが、精一杯。
顔が勝手に赤くなっていくのが分かる。周囲の空気が、一瞬固まった。
「あぁ、遅くなっちゃうね、もう帰ろっか」
立木先輩がそう言ってくれて、やっとほっと安心する。
「じゃあ、慶たちは練習頑張って」
立木先輩が手を振った。上川先輩も手をあげたから、私も便乗して手を振っておく。
「じゃーねー! がんばれよー!」
菊池さんの声援に、みんなが笑った。
よかった、私はここにいても、大丈夫だったみたい。
フェンスを離れて、校舎に入る別れ際に、立木先輩が「ありがとう、お疲れさま」って言ってくれたのも、よかった。
「立木生徒会長って、優しいよねー、上川先輩もいい人だけどさー」
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