#3『出場競技』

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「市ノ瀬くんは、どの競技にでるの?」  奈月は聞いた。 「俺? 俺はなんだっていいけど、まぁ、人数少ないところに出ないといけないんだろうな」 「志保は?」 「短距離走はヤダ」  二人が笑った。 「お前、足遅かったっけ?」 「早そうに見える?」 「見えねーな」 「市ノ瀬くんはリレーに出たら? 選手決め、もめそうじゃない?」  私がそう言ったら、二人は顔を見合わせた。 「宮谷さんは、リレーでもいいの?」  彼がそう言ったら、奈月はちょっと恥ずかしそうにして、うつむいた。 「い、市ノ瀬くんが出るなら……、てゆーか、市ノ瀬くんは、それでもいいの?」  奈月が聞くと、彼はくしゃくしゃと頭を掻きむしった。 「しかたねーだろ、じゃあ俺はリレーってことか?」 「市ノ瀬くんが手を挙げたのに、私も手を挙げるよ」  奈月がぼそりとつぶやくと、彼はうれしそうに笑う。 「うわマジで? 助かるわー、超心強いし。まあその時の流れ見ながらってことで」  次のクラス会の日に、出場者を決めることになった。  市ノ瀬くんが立ち上がると、奈月は小さく手を振って見送る。 「奈月、本気でリレー走るの?」 「だって、まずそれを決めないと、他の競技も決まらないと思うし」  私が彼女をまじまじと見つめると、奈月はさらに小さな声で言った。 「だって、志保は絶対走らないでしょ、だったら私が走らないと、しょうがないじゃない」  その時の奈月は、自分では気づいてなかったのかもしれないけど、顔が真っ赤になっていた。
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