#3『出場競技』

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結局、もめにもめたクラス会の結果、体育祭全競技の出場者が決まった。 リレーの選手を先に決めようと言ったのにもかかわらず、市ノ瀬くんも奈月もそこでは手を挙げずに、最後に決めようという話しになった。 司会進行が悪かったのかもしれない、クラスに陸上部がいなかったワケじゃないけど、彼らは2000メートルの長距離と、障害物に手を挙げた。 そうなると、当然のように綱引きとか玉入れとか、無難な団体競技から選手が決まっていき、そこにあぶれた生徒が必然的にリレーの選手になってしまう。 奈月と市ノ瀬くん、バスケ部の津田くんと、茶道部の柴田さんと私が選手に選ばれた、とんでもない結末だ。柴田さんと私に至っては、同情を禁じ得ない。  決定した出場者名簿を持って生徒会室に行くと、案の定それを見た立木先輩に笑われた。 「あはは、やっぱり、生徒会総務は、ほぼリレー対決になっちゃうんだね」 「立木先輩もリレー走るんですか?」  私がそう聞いたら、先に来ていた?C水さんが笑った。 「毎年、3年のリレーで生徒会長がアンカー走って、転ぶってところまでが、お約束でしょ」  彼女が笑うと、立木先輩は怒ることなく私に向かって言う。 「ねぇ小山さん、コイツ、俺に転べって言ってるんだよ、どう思う?」  私は返事に困って、愛想笑いを浮かべておいた。?C水さんは立木先輩をからかって遊んでいる。 そんな二人の光景に、私は机に視線を落とした。そんな仲のいいとこ見せつけられても、私はただ単に、名簿を持ってきただけなんですけど。
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