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?C水さんがまとめていた2年の出場者名簿、隣のクラスのリレー選手は、全員男子の陸上部で固めてきていた。
「うわ、2年4組、本気メンバーですね」
私が思わず声を出すと、立木先輩が言った。
「まぁ、特に規定はないしね、各クラスの個性が出るよね」
「そう言えば、慶のクラスは、慶が走るんでしょ」
?C水さんは私の話を無視して、自分の話を続ける。
「けい?」
「上川のことだよ」
「リレー楽しみだよね」
彼女は笑った。
「えっと、2年帰宅部の、小山さん? だっけ? 今日、公園掃除の当番だよね、爽介は、ここで名簿の受け取りするんでしょ?」
この人は立木先輩のことも、爽介って呼び捨てにする。
「じゃ、私と一緒に公園清掃に行こうか、生徒会のほうき、借りてっちゃお」
そう言うと、彼女は勝手に私に向かって言う。
「はい、これ持って」
渡されたほうきを、私は黙って受け取った。彼女は立木先輩にそれを告げると、すぐに歩き出す。
「あ、小山さんは終わったら、そのまま帰っていいからね、ほうきは私が戻しておくから」
そんなこと言われても、ここに鞄を持ってきてないから、そのまま帰れたりするワケは全然なくって、結局は学校に戻ってこなくちゃいけないんだけど、この人にはそんな私の事情は一切関係がないらしい。
公園に向かう途中、通ったグラウンドの横で、?C水さんに気づいた上川先輩が彼女に手を振った。
私は黙ってペコリとだけ頭を下げる。
10分程度で簡単に終了した公園掃除の帰り道、先に返されて、一人で通った私のことは、上川先輩には気づいてもらえなかった。
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