#4『役割分担』

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 市ノ瀬くんが、突然立ち上がった。 「じゃ、またな」  彼はそのまま、一度も振り返ることなく、さっさと行ってしまう。 柴田さんも立ち上がった。 「私も部室によってから帰るから、一緒に行こ」  私たちは、体育館へ向かって並んで歩き出した。背の高い津田くんを真ん中にはさんで、3人で歩いていると、お父さんに群がる子供みたいな気分だ。 そんなこと言ったら、絶対怒るだろうけど。 「ねぇねぇ、いつからバスケやってるの?」 「うちの学校って、バスケ強かったっけ?」  私と柴田さんが順番に繰り出す他愛のない質問に、彼は笑って全部答えてくれた。 初めて同じクラスになった男の子だったけど、あの市ノ瀬くんなんかに比べると、ずっと話しやすい。  体育館に着いたら、彼はすぐにバスケ部に合流していった。 私はバスケ部の隣で練習の準備を始めていた奈月に、タオルと飲み物を渡す。 「あぁ、志保が持ってきてくれたんだ、ありがと」  奈月はそれを受け取ると、すぐに練習へと戻った。 帰ろうとした私を、柴田さんが呼び止める。 「ねぇ、ちょっとだけ、津田くんの練習見ていかない?」  彼女はなんだかんだで、そのまま津田くんの話しをつづけている。彼の姿をずっと、視線で追いかけていた。
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