#6『掃除当番』

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 学校へ向かう帰り道、市ノ瀬くんが私の隣に並んだ。 「小山は、大丈夫だった?」  小さな声で、ぼそりとつぶやく。 それは、今さっきのことを言っているのか、それとも、今まで一人で(実際には他のメンバーもいたけど)公園掃除を任せてきて、問題はなかったのかということを聞いているのかな?  彼の真意は分からなかったけど、今日だけは、彼のことを許してあげられる。 「うん、大丈夫だったよ、ありがと」  彼は小さくうなずいて、そのまま黙って歩いてたけど、そうだ、私も一言、彼に言っておかなければならないことを思い出した。 「今度から、ちゃんと一緒に行こうね」 「あぁ、分かった」  素直にそういう返事が返ってきたのが、ちょっと意外だった。  またなんかぶつぶつ文句を言って、掃除に来ない言い分けを並べるのかと思った。 なんだ、ちゃんとしようっていう気持ちは、彼なりに持ってるんだな、初めて知った。 サッカー部のグラウンドの前で、私たちはほうきとゴミ袋を受け取って、二人と別れた。市ノ瀬くんと上川先輩は、私たちに手を振ってくれて、フェンスの奥へと走っていく。 「さっきの隼人、ちょっとかっこよかったよね」  梨愛がそう言ったら、奈月は黙ってうなずいた。 私の視線は、グラウンドに走り出た二人の背中を追っている。 ここからは、隣にいる女の子二人の表情は見えないけれども、きっとこの二人も同じ目で、あの人たちの背中を見てるんだろうなって、そんな気がした。
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