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津田くんと目があうと、彼は私に手招きをした。私たちが近寄ると、彼は学校の見取り図を片手に質問を始める。
「体育祭のさ、競技出場者と、周辺警備の時間をずらして担当を決めろってことなの? 絶対に回ってなきゃダメ?」
私は、生徒会で頭に叩き込まれた『体育祭運営マニュアル』を思い出す。
「二人のペアで回ってればよかったはず、とにかく、誰か二人が、警備ベスト着て校内にいればそれでいいから……」
「うち、部員減ってるのに、辛いな、一人じゃダメ?」
「当番表の提出、今日までだから、よろしく」
津田くんはため息をついた。急に彼の顔がぐっと近づいて、私の耳元でささやく。
「そこはさ、志保ちゃんの力でごまかせないの?」
「ムリ! ちゃんとやってください!」
私が怒ったフリをしたら、彼はおかしそうに笑った。
ホントに、ごまかすって、何をごまかすつもりなんだろう、私に何をさせる気だ、この人、絶対ふざけてる。
後で周回当番表、ちゃんとチェックしておこう。
隣接するテントでは、千佳ちゃんが退屈そうにぶらぶらと座っていた。
「もう、準備はOK?」
「うん、保健室で、他の部員が保健用品のチェックをしにいってる。アイスノンとか、絆創膏とか」
置かれた机の上には、お茶や水を入れる大きなジャグが用意されていた。
「もう中は洗ったの?」
「うん、茶道部だから飲み物係っていう、センスもおかしいよね」
腕時計をちらりと見た。一時間ごとに、本部に戻って報告を入れないといけない。
「志保ちゃん、戻らないと」
梨愛に言われて、私たちは本部へと戻った。
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