#7『進捗監視・報告係』

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ずっと真剣に二人で話し合っていた上川先輩の顔が、ふっと笑顔になった。何かを彼女にささやくと、?C水さんは笑って、その脇腹に軽いパンチを入れる。 上川先輩も笑いながら痛がるフリをして、彼女の髪に頬を寄せた。上 川先輩と視線がかち合って、私はパッと顔を背ける。それに気づいた彼女は、彼の元からそっと離れた。 「あぁ、ゴメンね、定時報告、もういいよ、続き、行ってきて」 にこっとした笑顔で、彼女は手を振る。 立木先輩が、大きなコンプレッサーを持って帰ってきた。 「慶、これで大玉に空気入れてみて」 「了解」  立木先輩が両手で運んできたそれを、彼は片手で軽々と持ちあげる。 私はうつむいていた。 顔が上げられない、まっすぐに、この人の顔が見られない。 「志保ちゃん、次は、体育館横の用具係だよ」 梨愛の声に、上川先輩も振り返った。 「あぁ、じゃあ、一緒に行くか?」 私は先輩に、ちゃんと名前を覚えてもらってるのかな?  今は体操服じゃなくて制服だから、彼がもし名前を覚えていなくて、こっそりチェックしようとしても、分からないじゃない。 名前を見て、呼んでもらえることも出来ない。自分からは話しかけることもできないし、話しかけられることもない。 どうすれば、もう一歩この人に近づけるんだろう。
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