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体育館横の倉庫の前には、玉入れのかごとか、障害物走の網とか、たくさんの用具が広げられていた。サッカー部とハンド部が、交代で用具の出し入れをすることになっている。
上川先輩がコンプレッサーを持って現れると、そこには市ノ瀬くんたちが待っていた。
梨愛が誰よりも先に、市ノ瀬くんに駆け寄る。
「空気入れ、持ってきてくれたんっすか」
市ノ瀬くんは、上川先輩を見上げた。
「これ、取説らしいんだけど、分かる?」
それを受け取った市ノ瀬くんと梨愛は、一緒にのぞき込んでいる。上川先輩は他の部員たちと一緒に、コンプレッサーの電源を探していた。
?C水さんとは、つき合ってるって、ことなのかな? 彼女?
だけど、そんな話し、聞いたこともないし、彼女と上川先輩が、委員会以外で一緒にいるところ、見たことないし。
後輩の一人が、延長コードを持ってきた。先輩は、それにコンセントプラグを差し込む。
?C水さんって、よく知らないけど、確か立木先輩とも仲よかったよね、てゆーか、あんなグーパンチとか、普通に仲がよかったら、友達同士でも全然ふつうにやるよね、そんなの、特別なんかじゃない。
スイッチを入れたら、もの凄いエンジン音がして、コンプレッサーが動き出した。
「市ノ瀬、空気入れる穴、分かった?」
先輩の声が聞こえる。
大丈夫、上川先輩に、彼女がいるとか、聞いたことないし、自分から聞いてみたこともないけど。
どうしよう、誰に聞けば分かるかな。市ノ瀬くん?
「先輩、大玉のどっかに、ファスナーみたいな開くとこあります?」
上川先輩と市ノ瀬くんは、仲いいのかな? 同じ部活だけど、そんなことを彼に聞いちゃって大丈夫なのかな、あぁ、他にもっと聞きやすい人、どっかにいないのかな、奈月? 梨愛?
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