#7『進捗監視・報告係』

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「なぁ、小山、お前話し聞いてる?」  ふいに、市ノ瀬くんにそう言われて、私は我に返った。 「え? なに?」  彼はため息をつく。 「まー、別にいいんだけど」  上川先輩が空気穴をみつけて、そこにノズルを差し込んだ。 スイッチを入れると、さらに大きな音がして、徐々に大玉が膨らんでいく。 「これ、休み休み入れないと、コンプレッサーがすぐ動かなくなるみたいですよ」  梨愛がそう言って、上川先輩がため息をついた。 「あーそうか、分かった。本部には、何とかするって、連絡しといて」  私は、上川先輩を見上げる。彼は、チラリと目を合わせて、「じゃ、よろしくね」とだけうなずいて、私に背を向けた。 よろしくって、誰によろしくって言えばいいんだろう、立木先輩? それとも? 「じゃ、次に行こうっか」  梨愛がそう言った。 「うん」  私はうなずいて、その場に背を向ける。 「じゃ、市ノ瀬くん、頑張ってね」  梨愛は手を振っていたけど、私は代わりに頭を振る。 ダメダメ、余計な事は考えない、上川先輩と?C水さんとか、そんなのただの友達に決まってる。それ以外に、どんな関係がこの世に存在するっていうんだろう、そんなのありえない。  東門へやって来た。ここにはすでに体育祭の看板が掲げられていて、津田くんが同じバスケ部員の友達と来ていた。 「あぁ、志保ちゃん、正門から、東門、西門って巡回ルートで、よかったんだよね」 「う、うん」  彼を見上げて、何とかそう答える。今の私は、変な顔してない、平気、な、はず。 「ここで、しばらく立ってればいいの?」 「5分くらい」 「了解」  津田くんが握り拳を私に向け、グータッチを要求してきた。 私も迷わず軽く拳を握りしめ、グータッチを返す。 彼はそのまま、次の巡回経路の見回りに行ってしまった。 そうだよ、いま私が津田くんとしたみたいに、アレは何気ない挨拶、あの二人は、ただ普通に仲がいいだけだ。 チェックリストに目を落とす。 生徒会の仕事に集中することにして、私はその日を乗り切った。
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