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#3『出場競技』
生徒会での体育祭の準備が始まると、まもなくクラスでもその準備が始まる。今年の開催種目が生徒会から発表され、出場者を決めなくてはならない。
そのクラス会議のための、打ち合わせをしないといけないっていうのに……。
昼休み、約束していたはずの市ノ瀬くんは、また教室から姿が消えている。
私はちょっとイライラしながら、奈月とお弁当を食べていた。
短い昼休み、その半分が過ぎた頃になって、やっと彼がやってくる。
「ゴメンゴメン、忘れてたわけじゃないからね」
キッとしてにらみ上げたら、彼はちょっとだけ、ひるんだみたいになった。
「おい小山、また生徒会長を通して、上川先輩にチクるなよ」
それを決めるのは、あんた自身の態度なんだけど、と、思いながらも、何も言わずに横を向く。
「なぁ、話し合いするんじゃなかったのかよ」
ずっと待っていた私が、どうしてそんな怒られ方をしないといけないんだろう。
何か言い返そうかと思ったとき、奈月が割って入った。
「志保、ずっと待ってたんだよ、遅いなーって、ねぇ?」
気を使って、奈月がそう言ってくれたから、私は仕方なく彼を見上げる。
「出場者名簿の提出期限があるから、クラス会いつにする?」
彼は空いていた椅子を見つけて、奈月のすぐ隣に座った。
私は机の上に、生徒会からの資料を広げる。
「わ、私も、手伝うよ」
奈月が言ってくれた。私と市ノ瀬くんの始めた話し合いに、彼女が時々意見を出して、話し合いは進んでいく。
結局、競技内容と募集人数を、事前に教室に貼りだしておいて、会の当日に全部決めてしまおうという話になった。
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