#4『役割分担』

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#4『役割分担』

 体育祭といっても、うちの学校では完全に生徒会主催で行われるので、体育の授業中に練習とか、そんなものは全くなかった。 クラスによって、すっごい盛り上がるところもあれば、当日になっても全然まとまりがなかったり、一部の競技内の仲間たちだけで、熱が入ってたりすることも珍しくない。  今年、うちのクラスでリレー仲間を引っ張っていたのは、想定外の奈月だった。 「ね、一回だけでいいからさ、みんなでバトンパスの練習しようよ」  そんなことを言われて、校庭に連れ出される私と茶道部の柴田さんは、被害者でしかない。 「練習ったって、どこでするんだよ」  市ノ瀬くんは、ちょっぴり機嫌が悪い。どこで練習しようかとか、こうやってしようとか、あーだこーだと言い続ける奈月と、ずっと二人でやり合ってる。  私と柴田さんは、どこかに連行される被告人みたいで、もう固まっているより仕方がない。 「なんで二人とも、そんなに緊張してんの?」  ふいに頭上から声がして、同じリレーを走ることになった、バスケ部の津田くんがため息をついた。 「ま、このメンバーだし、そんな緊張すること、ないんじゃない?」  メガネの柴田さんは、早くも泣きだしそうだ。     
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