#2『公園掃除』

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#2『公園掃除』

 彼の言った通り、体育祭の準備についての説明が始まった。代々、どこの部が何を担当しているのか、今年の持ち回りは、どこの部で何をどうするのか、そういう小さな決まりがたくさんあって、説明するのも大変そう。 「帰宅部と文化部の方は、生徒会本部の手伝いをお願いします。では、それぞれに別れてください」  その言葉を合図に私が立ち上がったら、市ノ瀬くんも立ち上がった。 「帰宅部なのに帰れないって、ウケるよな」  ふいに彼の口から出たそんな言葉に、ムッとした私がにらみつけたら、彼はそういう反応を予想していなかったらしく、「そんなすぐ怒るなって」とかブツブツ言いながら、運動部の方に移動していった。 彼のさっきの発言は許せないが、そこには上川先輩もいる。 サッカー部、サッカー部かぁ、いいなぁ、だけど私には、やっぱりあんま興味ないなぁ。  本部のところに移動すると、そこには3年女子の?C水さんがいた。 立木生徒会長と、もう一人の男の副会長は、運動部の方の話し合いに回ってる。 彼女はいかにも聡明で、頭良くて真面目って感じの、完璧な女子だ。 「では私の方から、文化部の担当について説明しますね」  文化部の方でも、やっぱり代々の担当と、年ごとの受け持ちがあって、それが事前に分かってるから、彼らとの話し合いは進みが早い。 私がぼーっとしている間に、文化部系の受け持ちの話しは終わってしまった。 「で、帰宅部の方たちなんですけど」  私は顔をあげた。 「当日まですることはありません。校外の掃除当番表を作ったので、それに従って公園清掃活動を続けてください」  ?C水先輩のその笑顔は、決して意地の悪さからきている笑顔ではないと頭では分かってるけど、その態度がどうしても嫌がらせにしか見えない。 私は、配られた当番表を受け取った。
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