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でもやっぱり目に見えるのはそうでない人ばかり。例えばそういう人なんてのは思い出したくないもののすぐに具体的な例を挙げて示すことが出来るし、そうしたなら次から次へ顔が浮かんでしまうもの。
例えば?
嫌なことを思い出させようとしないでほしいわ。でも一つだけ挙げるとするならあれね。自分にとっての妹とか。
あなたには妹がいるのね。
そういうのがいるなんて一言も言っていないわ。それはただ例として挙げるまで。
そう。でも要は自分から見て目下の人となる人ということでしょう?その人の前ではちゃんとした振る舞いをしないといけないし、常にその人に比べて自身は優れていなければならない。そうならなくては恥ずかしいとか。
それは家族という血を分けたんだかそうでないんだかいうような人においても例外ではなく、弟や妹がまさにそれに当たる存在にはなり、それどころか彼らこそが絶対的にそういった存在なの。だって他人じゃない分その関係は一生ついて回ってしまうものね。
そして女性であるあなたにとって弟というものなら少なからず性別も違うしある程度遠い距離にいるようなものだから、あなたは妹と呼ばれるような存在をあげたものなんだわね。ちゃんとわかってるわ。
世の妹やそういった誰かにとっての立場なる人がいたなら。いいえ、もうすでに大勢いてしまっているその人たちはもっと気づいてもいいものよ。
彼ら兄や姉のその痛みについて?
もし自分だったら、彼らの為を思えばそういうことに配慮するわね。
配慮って具体的には?
それはね。あぁっ、あったあった。
あなたはさっきから私を待たせて何をしていたかと言えば、本を読んでいる様ね。しきりにめくられるページの音がする。
紙に押された空気の音ね。
いいえ、辞書に使われるような薄い紙がめくられ、その弧が逆向きになったときに出す控えめな音。たくさんのページがめくられ、そしてそれはそういうものな物だから紙の縦と横を掛けただけの大きさはかわいらしい位の大きさしかないものなの。
私の手元にあるものは?
実際その通りでしょう?
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