プロット

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 バーでは残りの三人がソファでくつろいでいた。翔斗が入ってきても特に驚く様子もなく普 通に迎え入れ、六人は作戦会議を始めた。もちろんそれは一樹のための作戦会議であり、メンバー四人はあくまで考えるだけで一樹の行動には一切関与しようとしなかった。一樹がそれを望んだからだった。瞬間移動の超能力を持った男をどうやって捕まえるか。方法は二つ。一つ目は至ってシンプルで、精神力を代償とする超能力を使わせ続けること。しかし、瞬間移動のようなタイプが相手ではそれは難しかった。二つ目は不意打ちをかけること。これもシンプルに見えるが、超能力を使えないレベルの不意打ちを仕掛けなければいけない。そらは今まで一樹一人では不可能だった。しかし、翔斗もいればできるかもしれない。翔斗には超能力はなかったが、人一倍身軽で運動神経がよかった。翔斗が不意打ちを仕掛ければ、一樹が攻撃する隙を得られるだろう。議論はそうまとまったが、機会はそう簡単に来ない。ローディアの予知が特定の場所でない限り不可能な作戦だった。それに関しては気長に、とはいかないが、待つしかない。そう言って会議を終えた面々は、会議が終わった瞬間好き勝手談笑したり料理を始めたりする。それに少し苦笑して、一樹は翔斗と席を立った。帰るために階段を上り、暗い路地裏へ出る。そこで一樹は翔斗に呼び掛けた。きっとあなたの父親を殺すことになるけど、本当に構わないのか、と。翔斗は一拍置いたが、頷いた。  二人はすっかり寒くなり、暗くなった道を歩いていた。そこで、ばったりと犯人に会うローディアの予知以外で遭遇するのは初めてだった。思わず動揺する一樹と翔斗をよそに、男はおお、と感嘆の声をあげた。お前、翔斗か?大きくなったなあ、と。一樹が男に向かって走るのも気に留めず、男はげらげら笑いながら昔話でもするか、と言った。
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