プロット

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 ある時、一組の夫婦がいた。彼らは決して完璧な夫婦ではなかったが、時には喧嘩をしつつも幸せな生活を送っていた。ある日、妻が身ごもった。妻も喜んだし、夫ももちろん喜んだ。 ところが、生まれてきた子供を見て、夫は何か違う、と確信した。男は妻に内緒でDNA検査 を行った。今の時代、生まれて子供と自分の情報があればDNA検査など費用もかからないし容易だった。その結果、子供は自分と妻の子供ではないことが判明してしまった。夫は怒り狂った。だから、妻に内緒で、妻を身ごもらせた男の妻を殺しましたとさ。めでたしめでたし。  そう、その子供がお前だよ、翔斗。男はなおげらげら笑いながらそう言った。そして、こう 続けた。女、お前ももう分かっているだろ、翔斗の父はお前の父だ、と。すっかり走る足を止めてしまった一樹と、何も言えない翔斗の前で、男はまた姿を消した。混乱する頭の中で翔斗はぼんやりと、腹違いの姉弟だったから親近感を感じたのか、と思った。  ぼんやりとしたまま帰路に着いた二人はそのまま床に入るが、頭の中は混乱していてさっぱり眠れなかった。それでも二人の距離感はなんとなく変わらないまま、あれから男に会うこともなく、ローディアが予知をすることもなく、一ヶ月ほど過ぎる。
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