プロット

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1章  クラスで孤立した一匹狼の少女、後藤一樹はある日の放課後、学校で人気者の少しばかりちゃらけた男子、佐伯翔斗に話しかけられる。しかし、生粋の人間で極度のドール嫌いであった彼女は、挨拶を返すことすらせずに彼をすげなく追い返えそうとする。翔斗に昨日の男は誰、と聞かれた彼女は、去りかけていた足を止め、振り向いた。そして、眉一つ動かさず、あんたには関係ない、と言ってその場から立ち去った。しかし、翔斗は全く諦めなかった。周りからなんだストーカーか、と野次を飛ばされようともひたすら一樹にまとわりついていた。一樹の態度は初日と変わらず、会話すらない状態だった。放課後さっさと学校を出ていく彼女の後を追いかけると、彼女はある地下バーへと入っていこうとした。翔斗も続いて入ろうとするが、彼女に無言で睨まれ大人しく帰ることにする。  そんな日がしばらく続き、あれから翔斗は毎日バーへと入っていく一樹の様子を見るだけだった。しかし、ある日、彼女はバーではなくとある病院へと足を向けた。彼女が入っていく病室を覗くと、ベッドには藍色の長い髪を持った少女が眠っており、傍らには褐色の肌の男性がいた。ドアが閉まる直前、一樹がこちらをちらりと見たが、何も言うことはなかった。病室のネームプレートを見ると、そこにはローディア、とだけ書かれてあった。今日はもう帰ろうか、と翔斗はその場を立ち去ろうとしたが、急に病室のドアが開く。そこには、先ほどの男性がいた。全く知らぬ男性に招かれ、翔斗はおそるおそる病室に足を踏み入れる。一樹は翔斗を見て嫌そうに顔をしかめたが、すぐに男性へ困惑した顔を向けた。一体なぜ、と呟くように尋ねた一樹に、男性は、なんとなくだ!と言い切り、一樹は呆れた眼差しを向ける。アレグロ、と名乗った褐色肌の男性は、翔斗に超能力を知っているか、と尋ねた。聞いたことはあるが、本当に存在するとは知らなかった翔斗は、はあ、とはあ?ともつかない気の抜けた返事しかできなかったが、アレグロは全く気にした様子もなく笑う。そして、今ここにいる翔斗以外の全員が超能力を持っている、と話した。一樹が諌めるようにアレグロの名を呼ぶが、彼はウインクを返すだけではなしを止めようとしなかった。アレグロは翔斗を一目見たとき、翔斗なら一樹を救ってくれると直感したのだった。
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