プロット

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 アレグロの後押しで腹をくくったらしい一樹は、目的を翔斗に語った。母を殺したドールを探しており、ローディアにその手伝いをして貰っているのだ、と。ローディアは未来予知の超 能力を持っており、一樹はそれを当てにして犯人を追っていた。ローディアは、ドール嫌いの一樹が唯一頼るドールの血が入った人間でもあった。しかし、ローディアは十歳の時超能力を酷使させられ、精神崩壊を起こしかけてからずっと眠っていた。未来予知をするときのみ目を覚ましていたが、完全ではない彼女がもたらす情報もまた完全ではなかった。日付のみ、時間のみ、場所のみ。そんなあいまいな情報を頼りに、一樹はずっと犯人を追っている、と話した。横で聞いていたアレグロは、俺は頼りにならないのか、と茶化したが、一樹はあなたもドール、と言っただけだった。  情報を一気に押し付けられた翔斗はしばし唖然としていたが、一樹の話を理解すると、突如一樹に協力を申し出た。翔斗自身、あの既視感がずっと気にかかっていたのだ。一樹は何を言ってるのかわからない、という顔をしたが、翔斗が男に見覚えがある気がしたことを話すと、好きにして、とだけ言った。  その日、彼らが虚ろな目を開いたローディアから得た情報は、明後日例の男がこの付近に現れる、というものだった。
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