プロット

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2章  ローディアの元を訪れてから二日後、日がもう沈みそうな時間に、一樹と翔斗は病院を中心として辺りを歩き回っていた。一樹は、あの男には夜しかあったことがない、と言った。付け加えて、ローディアの予知で時間が出たときも常に夜だった、とも言った。ふうん、と聞き流した翔斗は、それよりも、と気になっていた一樹の超能力について尋ねた。そんなの聞いてどうするの、と返した一樹に、だって超能力とかわくわくするじゃん?と翔斗も負けじと返す。しばらく間があいて、小規模の雷を操れるだけ、そんなすごいものじゃない、と一樹は言った。いや、十分すごいと思うけど。そう翔斗が返しかけた瞬間、一樹はいる、とだけ呟いて突如走り出した。慌てて翔斗はその後を追いかけながら、いつの間にか暗くなった街をきょきょろと見渡したが、静まり返った路地裏には人ひとりいなかった。どこにいるんだよ、と前を走る一樹に声をかけたところで、一樹がぴたりと足を止めた。すると、数メートル先に前に見たフードを被った男が、二人に背を向けた状態で何の前触れもなく現れる。一樹がばっと駆け出し、後ろから男に蹴りをいれ、その拍子に男のフードが取れる。何事かと振り向いた男の顔を見て、翔斗はその場に固まった。その顔は、翔斗が七歳の時に行方不明になったはずの父親そっくりだった。一方一樹は、分かってはいたものの七年前に見た顔に一瞬怯んでしまう。その隙に男は一発一樹を殴り、前を同じように姿を消した。  一樹は殴られた腹を抱えながら立ち上がり、そこで翔斗の様子がおかしいことに気づく。どうしたの、と尋ねると、翔斗は、あれは俺の父親だ、とだけ呟いた。一樹は驚き目を見開いたが、すぐに今日は解散、とだけ言って、その場を立ち去った。   翔斗も無関係ではなくなった。そう知った一樹は、自身のことを話すことを決意し、放課後自分から翔斗に声をかけた。今日一日上の空だった翔斗は、話しかけられても生返事を返すだけだったが、一樹が話しかけてきた瞬間ぱっと顔を明るくした。あのバーに行くのか、と尋ねた翔斗に、一樹はあそこはドールが入っていい場所じゃない、とだけ返し、二人はカフェへ向かった。
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