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01 襲撃者
ウサギのリッピーは、太陽の温もりが僅かに残るベッドに飛び乗る。
ふわふわと柔らかいベッドには草木の香りが、部屋にはラベンダーの香りが満ちていて、それはリッピーを優しい気持ちでいっぱいにしてくれた。
窓際に設置されたベッドに膝を立て、窓枠に肘を立てる。
夜の少し冷たい風が、湯上がりの肌には心地よかった。
風はリッピーの部屋にある様々な花を揺らす、それは『恋に効く』とされる様々な色をしたおまじないの花達。
柔らかな香りが立ち上る。
今夜は月の出ない静な夜。
天空の太陽は姿を消し、等間隔に並んだ星明かりがとてもキラキラと輝き、夜を鮮やかに彩っている。
同じウサギのジーラとルーシーも同じ空を眺めているだろう、今夜は星明かりが特に煌めく特別な夜だから。
この日、日付が変わるまで星空に祈れば恋が叶うと言い伝えが有り、リッピーの母も同じことをして父と出会ったと聞いている。
未だ恋する相手は居ないが、出来たときの為、リッピーは祈り続けている。
恋と言う未知の感情がどれ程幸せをもたらしてくれるのか、それはキリンのケラフを見たときからわかっていた。
同じキリンのゾーンの声を聞き、彼の傍にいるときの高揚した頬に潤んだ瞳、漏れるため息は同い年とは思えない程大人びていた。
『いつか私も恋をしてみたい』とリッピーに思わせるには十分すぎるほど、ケラフは恋に陶酔していた。
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