プロット

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 やや捻くれた性格の中学3年生・波島燈矢(ハシマトウヤ)には、他の人にはない特殊な力がある。それは「明晰夢を毎日見ることが出来る力」、つまり「自分が夢を見ている時にそれが夢であると毎日明確に認識する事ができ、ある程度好きなように展開出来る力」だ。その力が何故か自分に備わっているおかげで、波島は毎夜の夢を楽しみに生きている。  そんなある日、波島はいつもとは違う不思議な夢を見る。それは、彼が好きな恋愛アドベンチャーゲームである「翼のない天使達の誘惑」の中に自身が入り込むというものだった。夢とは言え二次元作品の中に入る事が 出来て、自分の望むままに好きなキャラと仲良くなれることに喜ぶ波島。目が覚めたときには残念に思ったものの、次の日もその次の日も何故か連続でその夢の続きを見ることができたため、彼の夢人生は満たされていた。  しかし、そんな中一つの問題が発生してしまう。夢に執着すればするほど夢と現実の区別が付かなくなってきてしまい、現実世界での生活中に戸惑いを覚えることが増えてきたのだ。一つ年下の従姉妹である八上茉莉耶(ヤカミマリヤ)にもかなり心配され、このままではいけないと危機感を抱いた波島は、夢を見続けることを諦め再び現実を生き始める。不思議と「もう続きは見たくない」と望んだだけで、夢の続きを見ることはなくなった。  そうしてしばらく茉莉耶と穏やかな日々を過ごしていた波島の前に、新たな問題が立ち塞がる。波島の力が何故か茉莉耶に移り、今度は彼女が「翼のない天使達の誘惑」の明晰夢を見るようになってしまったのだ。混乱した茉莉耶は、夢中に登場するゲームのヒロインであり、波島の一番のお気に入りキャラであるフレイア=グレイスに問い質す。ーーこんな事を聞かれても困るのは分かっているけど、どうしてこんな事が起こるのか、と。それを聞いたフレイアは、微笑みながらこう答えた。 「燈矢は私の悩みを知っているのに、助けてはくれなかった。私よりも、何の悩みもない貴女を取った。だから貴女をここに引きずり込んだの」
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