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ことりは小さく頷いて出て行った。
振り向きざまガラス玉のような瞳で僕をチラリと見た。
それが非難のまなざしか
蔑みのそれなのか読み取れやしなかった。
でもそんなこと
もうどうでもよかった。
扉が閉まった途端。
「馬鹿が――」
「アアッ……」
火のついたように征司は僕を押し倒し
汚れたベッドに組み敷いた。
「この馬鹿が――」
怒りに打ち震える声とは裏腹。
久しぶりに見た――。
理性やら感情やらみんなかなぐり捨てた瞳。
僕だけを映した――まるで涅槃にいるような征司の瞳。
「征司お兄様っ……」
着ている物を脱ぐのもままならぬ様子で
息も荒く征司は僕の全身をくまなく愛撫する。
「黙れ――とにかく今は黙って俺に抱かれろ」
汗も穢れもみな吸収してしまうほど
隙間なくきつく征司は僕の身体を抱いた。
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