episode243 破壊夜

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ことりは小さく頷いて出て行った。 振り向きざまガラス玉のような瞳で僕をチラリと見た。 それが非難のまなざしか 蔑みのそれなのか読み取れやしなかった。 でもそんなこと もうどうでもよかった。 扉が閉まった途端。 「馬鹿が――」 「アアッ……」 火のついたように征司は僕を押し倒し 汚れたベッドに組み敷いた。 「この馬鹿が――」 怒りに打ち震える声とは裏腹。 久しぶりに見た――。 理性やら感情やらみんなかなぐり捨てた瞳。 僕だけを映した――まるで涅槃にいるような征司の瞳。 「征司お兄様っ……」 着ている物を脱ぐのもままならぬ様子で 息も荒く征司は僕の全身をくまなく愛撫する。 「黙れ――とにかく今は黙って俺に抱かれろ」 汗も穢れもみな吸収してしまうほど 隙間なくきつく征司は僕の身体を抱いた。
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