episode243 破壊夜

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「……ほしいよ」 頭がぼんやりして 徐々に視界がぼやけてゆく。 「もっと俺を苦しめたいか?」 「え……」 柔らかい声。 温かい舌が僕の指を舐める。 「違うよ……僕……そんなこと考えたこともない」 中指。 薬指。 小指の先。 順番に。 「本当だよ……僕、いつだって何も考えてないんだ」 与えられているのは 愛と呼ぶ以外の何物でもなかった。 「征司お兄様を苦しめたいだなんて……本当にただの一度だって」 「それならおまえは天才だ」 「お兄様……」 「おまえは俺を苦しめる天才だ」 そこには温かい笑顔も 一筋の光もないけれど――。
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