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赤い唇が震える。
「こうして……」
征司の両手に手を添えて
力の込め方を教えてやる。
征司の手が一時。
ほんの一時の間
誘惑に負けたようにゆっくりと僕の首を締め上げた。
「ンッ……」
息ができない。
でも苦しくはなかった。
むしろ命さえ預けてしまうと
後はもう安らかな快楽だけが僕を支配した。
だが征司の方は違ったみたいだ。
「クッ……」
僕が瀬戸際で感じる快感は
兄の永遠の楽園を一瞬にして破壊した。
「アアッ……!」
僕の首を締め上げたことで
僕の中にいた己自身を締め上げたのだ。
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