episode243 破壊夜

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赤い唇が震える。 「こうして……」 征司の両手に手を添えて 力の込め方を教えてやる。 征司の手が一時。 ほんの一時の間 誘惑に負けたようにゆっくりと僕の首を締め上げた。 「ンッ……」 息ができない。 でも苦しくはなかった。 むしろ命さえ預けてしまうと 後はもう安らかな快楽だけが僕を支配した。 だが征司の方は違ったみたいだ。 「クッ……」 僕が瀬戸際で感じる快感は 兄の永遠の楽園を一瞬にして破壊した。 「アアッ……!」 僕の首を締め上げたことで 僕の中にいた己自身を締め上げたのだ。
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