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ベッドルームを抜けた時には
まだ空は真っ暗だったのに。
リビングに移ると
もう微かに東の空が明るくなって来ているのが分かった。
夜明け前だ――。
僕は昨晩ことりとシャンパンを飲んだテーブルで
冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターをグラスに注いだ。
まさに命の水。
一息に飲み干すと
ボトルの残りを被るようにして顔を洗った。
と――。
「……ん?」
濡れた前髪を拭うその先に。
一冊のメモ帳が開いて置いてあるのを見つけた。
僕は近づいてそのページを手に取った。
『和樹へ――』
驚いた。
分身の娼婦からの僕へあてた短い手紙だった。
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