もしかしたらせかいってすばらしい

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「これを磨くと水晶になるんだよ」  ユウくんは、私の手から石ころ――水晶を取り上げて言った。 「へぇ。どこで拾ったの?」 「あの山」  ユウくんが窓の外を指差した。そのずっとずっと先には山がある。その山はひどく歪なかたちをしていて、右半分が何かに削り取られたようになっている。  大昔に、巨人が相撲を取ったとき尻もちをついたからだとか、大蛇がしっぽをぶつけたからだとか、そんな話を聞いたことがある。  あの山に名前があるのかどうかも分からない。ただあのおかしなかたちをした山は、この町のどこからでもよく見えた。 「あの山の下に、こういう石がいっぱい落ちてるんだ。もっと透き通ったヤツだって落ちてるよ」  そう聞くと、ユウくんの手のひらにある石ころが何だか特別に思えてくる。 「じゃあ、みんなで拾いに行こうよ」  サチが私の肩を叩いて言った。 「でも、山までの道が分かんない。オレ、父さんの車に乗っていったから」 「たぶん、川の横を真っ直ぐ行けばいいんじゃない?」  あの山は、川の上流にあるように思えた。だからそう言うと、みんなもなんとなく、そうだね、と言った。 「じゃあ放課後、いける人は集ろうね」     
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