もしかしたらせかいってすばらしい

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もしかしたらせかいってすばらしい

 二時間目が終わってからの休み時間、私の教室はいつもより騒がしかった。  小学二年生。ランドセルを背負うことも、毎日学校に通うことにも慣れてきた。  授業は退屈なときのほうが多いけれど、それでも私は学校に来るのが好きだった。  毎日なにか事件が起こる。下らないことから大変なことまで。  そして今日、教室がいつもより騒がしいのは、ユウくんの周りにみんなが集っているせいだ。 「ねぇ、見せて見せて!」  そうやって手を伸ばしているのはサチ。このクラスで私と一番仲がいい。 「リコ、ほら見て!」 「どうしたの?」 「水晶だって!」  私が首を傾げると、サチはほらほらとユウくんを指差す。見ると、ユウくんはなにかを手に持っていた。 「拾ったんだ」  ユウくんの手のひらには石ころが一つ。 「なにそれ? 石ころじゃん」  ユウくんはムッとして、私の鼻先にその石ころを突きつけた。手に取ってよく見ると、石の一部にガラスのようなものがわずかにきらめいている。 「これ、水晶なの?」  私が知っている水晶は、もっとカクカクして細長くて、透き通っていている――はずだ。実際に見たことはないけど。 「ゲンセキなんだって」  サチが得意そうに言ったけれど、私は知らない言葉にまた首を傾げた。     
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