2.小説家さんと赤い髪の男

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「何だよやるじゃん。モテない訳じゃないのに浮ついた話がひとつもねぇから兄さんずっと心配してたんですよ」 「兄さんって、同い年じゃん」 「そういうコトでは先輩だろ。それで、フミさんってのはどんな人なんだ?」 「どんなって、」 「かわいい系とか美人系とかおっぱいが大きいとか小さいとか、いろいろあるだろ?」 「小さくてかわいい」  ベンチに座って見上げた感じからして小さそうだなとは思ったんだけど。並んだら本当に小さかったなぁ。 「えっお前、そういう趣味だったの?」  フミさんのことを思い出してカンガイに浸っていると、サクがすっと離れる。カンガイってどう書くんだっけ。  その漢字を思いだそうとしていると部屋の扉が勢いよく開かれてそこからクロ先輩が息を切らせて入ってくる。 「な、菜奈村!藻上が戻ってきたら連絡しろって、言ってあっただろ!」  肩で激しく息をしながら文句を言われてもサクは動じることなく 「何も無くてよかったじゃないっスかー」  と言って水の入ったペットボトルを持ってくると彼に手渡した。 「藻上も、いつもと違うところに行くならそう言っておいてもらわないと心配するだろう!」  水をゴクゴクと飲んでふぅと息をつくとクロ先輩の視線がこちらに向いていつも怒っているように怒鳴る。 「公園にいたんだけど、駅まで人を送ってた」     
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