2.小説家さんと赤い髪の男

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********  やっぱり専用の道具を揃えようと思ったらそれなりにお金がかかるなぁ。その上それにしか使えないようなものばかりだし。  通販サイトを表示している液晶画面からノートパソコンのほうに視線を戻すが何度見てもそれは真っ白のまま。SNSの投稿も道具を揃えてからとなると先のことになっちゃうなぁ。  別にそれでも何の問題も無いのだけれど、今日一日でやったことと言えば映画を見てプロットを書き出しただけ。画面の右下の時計を確認すると時間は夜の九時を回ったところ。  今日も残り三時間か。その時間で何かが思いつく気もしないし、今日も一日を無駄にしたようなもんだなぁ。  まともな作家なら私がここまでに費やした時間があればプロットなんかとっくに終わって、本文の執筆作業に入っているころなのに。  そうやって周りと自分を比較して腐っていても仕方がないし出来ることからやっておこう。  そう決めて手に取るのは机の上のスマートフォン。本当は父さんや爺ちゃんに訊いたほうがいいんだろうけれど父さんは私からの電話に出る訳が無いし、爺ちゃんはもう寝ている時間だろう。母さんは今の時間じゃまだ忙しいだろうし、弟しかいないか。     
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