2.小説家さんと赤い髪の男

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 起こしてしまったことを素直に謝ると返ってきたのはぐいぐいと迫ってくるような質問の山で。悪気がないことは分かっているのだけれどつい、子どものころはそんなんじゃなかったはずなのにいつからそんなに母さんに似てしまったかな。と思ってしまう。 「子どもじゃないんだから大丈夫だよ」 『そう言うなら信じたいけど。どこかにいないかなぁ兄さんの仕事を理解して養ってくれて、ちゃんと生活してるか監視してくれる人』 「なっ、何でそうなるの?男なんだから私が養うほうでしょ?」 『だって兄さん大黒柱って感じじゃないし』  その言葉にそんなことないと返せたらよかったのだけれど、確かにそうだなぁと思ってしまう。 『それで、何かあったの?困りごと?』 「それが、いろいろあって大福をつくってお世話になっている人たちに渡すことになって。でも必要な道具を全部揃えようとすると大変で、どうにかならないか知恵を借りようかと」  自分で話しながら説明を省略しようとしすぎて違う話しになっているなと思ったけれど、まぁ大福をつくるということが伝われば問題ないはずだ。 『それなら必要な数を言ってくれれば予約が入ったってことにして多く作って送るのに』 「いや、まぁ、その、自分でつくらないと意味が無いんだ」 『あぁ、そうなの?』  説明を省いたせいで向こうからすれば意味が分からない話になってしまったけれど彼はそのことについて深く問いかけることは無く 『小豆を炊く大きい鍋と、蒸し器はある?』     
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