2.小説家さんと赤い髪の男

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 と問いかけてくる。 「鍋は元々あって、蒸し器は家庭用サイズのを買ってもいいかなと思ったんだけど」 『じゃあ問題は炊いたもち米をどう餅にするかだね』 「そうなんだよね。調べたら今は家庭で餅をつくれる家電もあるみたいなんだけど、普段使うようなものじゃないからポンと買うには抵抗があって」 『だからと言って昔ながらの杵と臼で餅つきなんかしたら何時間かかるか、』  分からないよ。と本来なら言葉が続いたんだろうけれど弟は途中で言葉を止め、そういえば。と声を漏らす。 『そういえば前に父さんが家にある業務用の機械よりも使いやすいかも。ってそんなのを買ったのはいいけど、こんな少ない量をちまちま作ってられるかって怒ってて結局使わなかった、のかな?たぶん倉庫にしまったままになってるだろうし、それを送ろうか?』 「そうしてくれたら助かるけど勝手に送ったりしたら無くなってることに気付かれたときに何か言われない?」 『大丈夫。買ったのは何年も前だし、本人は買ったことさえ忘れてるよ』 「そっか。じゃあ手間かけさせて申し訳ないけど着払いで送ってもらっていいかな?」 『そんな他人行儀なこと言わないでよ。家族でしょ』     
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