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俺はため息を1つ吐いて、床に放ってあった鞄を取ると、ベッドから下りて部屋を出た。
「あら、もう行くの?」
「行ってきます」
階段を下りて、通り過ぎたリビングから聞こえてきた声にそっけなく返事をすると、足早に家を出た。
さて、俺は自転車通学をしている。
電車で行くほどの距離でもないし、バスだといい停留所がない。それは家の近くにも学校の近くにも、だ。
だから自転車通学をしているのだが……。
「パンクしてるとは聞いてねぇ~……」
春休みの間に何があったというのか。
とはいえもう1台ある自転車の鍵を家に取りに戻るのは面倒。
それにこの自転車も使われるだろうし?
……自転車屋に行くしかないだろうか。
幸い、いつも遅刻ギリギリで学校に着くように家を出ているわけでもないし、それに今日はいつもよりも時間が早い。
問題はそこじゃなく、朝7時に開いている自転車屋があるのか、だ。
ここは知り合いの自転車屋を無理言って開けてもらうか……。
困ったらいつでも来いって言ってたし、今がその困った時だし。
「はぁ……」
面倒臭さにため息を吐いて、鍵を刺した自転車のスタンドを蹴り上げた。
自転車屋まではトボトボと自転車を押して歩いて行く。
そんなに遠い場所でもないのが助かった。
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