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ピーンポンピンポピンポピーンポーン
「うっせぇよ! 朝っぱらから誰だよあぁ!?」
バンッ! と勢いよく開いたドアから凄みながら人が出てきた。
まだ若いその男は、いつものようにつなぎを着ていて、上は脱いで腰辺りで袖を結んでいる。随分と着古した白いシャツを中に来ていて、まだ起きたばかりなのか髪は寝癖だらけだ。
しかも歯ブラシを手に持ったままだし。あとちょっと歯磨き粉飛んだし……。
「汚ぇ……」
「なんだよ、セイかよ。どしたぁ?」
歯ブラシで歯をシャコシャコと磨きながら、今度は普通に尋ねてきた。
俺は早い時間に来たことを詫びて、自転車を直してほしいことを伝えた。
「ふ~ん。わかった、ちょっと待ってな」
そう言って家の中に戻って行ってしまった。
俺は外で大人しく待つ。
この自転車屋は2階建てで、1階が店で2階が家になっている。
一応店の中から家に通じている階段があるけれど、今はシャッターが閉まっていて中に入れない。
だからシャッターの前に邪魔にならないように自転車を止めて、俺は外階段を上って2階の玄関からインターホンを鳴らしまくった。
ここ、店は10時に開けるくせに、朝起きるのは早い店主で助かった。
まぁ寝てても叩き起こしたけど……。
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